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2017年4月1日付で施行される『審査指南』の改訂箇所及びその趣旨

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中国国家知的財産権局が2017年2月28日に『専利審査指南』改訂の決定を発表しました。当該改訂は、2017年4月1日から施行されます。今回の改訂は、ビジネスモデルとコンピュータプログラムの保護、補足実験データの提出、無効審判における請求項の訂正、特許審査情報の公開、中止手続きなどに関します。具体的な改訂内容について、以下に説明します。


■第二部第一章(専利権客体の適格性)
改訂後の『審査指南』には、ビジネスモデルに関する請求項について、ビジネスのルールや方法と、技術的手段との両方を包含する場合に、専利法第25条の要件違反を理由に権利付与の可能性を否定してはならないことが明確に規定されています。
ビジネスモデルの創作物のうち、技術的手段を包含するものに対して適切な保護を積極的に与えることにより、産業経済の発達を促進する目的が達成されます。


■第二部第九章(コンピュータプログラムに関する特許発明の審査規定)
[改訂箇所1]
改訂後の『審査指南』には、「コンピュータプログラムそのもの」が、「コンピュータプログラムの発明」と異なることを明確にし、「媒体」と「コンピュータプログラムのフロー」をもって、コンピュータプログラムの発明を規定することを認めています。「プログラムそのもの」が保護の客体要件を満たさないことを明確にすると共に、「コンピュータプログラムの発明」は、特許保護の対象とすべく、「媒体+コンピュータプログラム」との方式で規定することが可能であることを明確にしました。


[改訂箇所2]
改訂後の『審査指南』では、「当該コンピュータプログラムの各機能がどの構成部で如何に果たされるかについて詳細に記述しなければならない」との文言を削除すると共に、「プログラム」が、一構成として包含されるように規定することが可能となるように改訂しました。プログラム発明に関しては、プログラムを物の請求項において一構成として規定可能であることを明確にし、プログラムの創作的部分を直接的に規定可能となるよう改訂されました。


[改訂箇所3]
改訂後の『審査指南』では、「機能モジュール」を「プログラムモジュール」に修正しました。改訂前の「機能モジュール」との表現では、発明の技術的思想がプログラム発明そのものであることを明確に反映することができず、また、機能的限定の表現と混同されやすいため、「プログラムモジュール」に修正しました。
なお、「【例9】学習内容を自定義するよう外国語を学習するシステム。」との例は、改訂後の実務に対して指導的意義を失ったため、削除しました。


■第二部第十章(化学分野の特許出願の審査)
[改訂箇所]
「実験データの補充」に関する規定を追加し、「出願日の後に追加して提出された実施例及び実験データを考慮しない」との表現を、「出願日の後に追加して提出された実験データについて、審査官は審査しなければならない。ただし、追加の実験データについては、それにより裏付けられた技術的効果を、当業者が特許出願の開示内容から導き出せるものに限る。」に修正しました。
先願主義の原則及び公開制度の趣旨を維持したうえ、出願人の利益を最大限保障する観点で、今回の改訂では、後出し実験データを条件付きで審査の対象とすることを明確にしました。


■第四部第三章(無効審判の請求)
[改訂箇所1]
改訂後の『審査指南』では特許後の訂正要件が緩和されました。つまり、改訂後の『審査指南』では、請求項に対して、他の請求項に記載の一つ又は複数の技術的特徴を追加することで減縮すること(請求項の更なる限定)、及び請求項における明らかな誤記の訂正を認めるようになりました。権利書としての公示機能を担保しつつ、権利者の利益を保護する目的が図られています。

即ち、改定後の『審査指南』では、無効審判における訂正として、
①請求項の削除
②請求項の更なる限定
③技術方案の削除
④請求項における明らかな誤記の訂正
が認められています。

ただし、『請求項の更なる限定』については、「請求項中にその他の請求項に記載された一又は複数の技術特徴を補充し、保護範囲を縮小すること」と規定されており、今後も、明細書の記載を根拠とする補正は許されない点に留意が必要です。


[改訂箇所2]
(1)権利者が請求項の削除以外の方式で請求項を訂正した場合に、請求人は、訂正の内容にかかる無効の理由を補充することができるように改訂されました。
(2)請求項を合併して訂正した場合に、指定の期間内に証拠を補充することができる旨の規定は、改訂により削除しました。

上記(1)の改訂は、無効審判において、権利者側による訂正手段の拡張に伴い、公平の見地から、請求人側に無効の理由を補充する機会を付与する趣旨です。
上記(2)の改訂は、権利者が請求項を合併した場合には、請求人としての追加対応は、既に提出した証拠を組み合わせたりすることで足り、証拠の補充まで認めるべきではないとの趣旨です。


■第五部第四章(出願文書)
本改訂では、公衆による包袋の閲覧制限が緩和されました。
公開公報発行後の特許出願に関しては、実体審査段階の審査書類(実体審査過程で、出願人に対して通知した内容、検索報告及び決定書)は、閲覧可能になります。


■第五部第七章(期限、権利の回復、中止)
改訂後の『審査指南』では、人民法院は、専利局に対して、財産の保全を執行するため手続を中止するよう要求する場合に、専利局は、民事裁定書及び執行協力通知書に記載の財産保全期間に基づいて、かかる手続を中止しなければなりません。また、中止期間が満了した後、人民法院は、財産保全の延長を要求する場合に、中止期間の満了前に、執行協力延長通知書を、専利局に通知しなければならず、専利局の審査により認められた場合、中止期間は延長されることになります。
判決の執行が難しいという問題を解決するために、2013年1月1日付で現在の民事訴訟法が施行されており、関連行政部門に対して証拠の差押、資産の凍結といった協力執行の義務付けを強化しました。当該民事訴訟法の改正に伴い、『審査指南』における中止手続の規定を改訂しました。