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オーストラリアの特許法等改正情報

制度表 [ 特許意匠 ]

イノベーション特許制度(1979年に創設された小特許制度を改良した制度)の段階的廃止規定を含む改正法案がオーストラリア連邦議会の両院を通過し、2020年2月27日から逐次施行されることとなりました。主な改正内容は以下の通りです。

 

1.2020年2月27日より施行
(1)特許法への目的条項の導入

 

(2)強制実施権について
2020年2月27日以降に提出された強制実施権の申請を検討する際には、裁判所は「公益」を考慮することが必要になりました。今後、実施権と特許権者に支払われる報酬の条件を決定する際に適用される「公益」テストは、現在の「公衆の合理的要求」テストに代わるものであり、「特許権者の権利と公共の利益との間のバランスを改善する」ことを目的としています。
新たな「公益」テストで考慮すべき項目は以下の通りです。
① 発明実施の需要を満たすことで公衆に波及する利益
② 発明を実施する権限を与えることで、特許権者および強制実施権の申請者に波及する商業的費用および利益
③ 過度の競争やイノベーションへの影響に関する事項を含み、裁判所が関連を考慮する他の事項

また、後願発明実施のために先願発明の実施許諾を求める強制実施権については、後願特許の特許権者のみが申請可能であることが明確にされました。この申請に際して、後願発明には、「先願発明に対して相当な経済的意義を持つ重要な技術的進歩」を有することが求められます。

 

(3)特許・意匠の政府等実施規定について
連邦政府、州政府または準州政府が提供または資金提供の主な責任を負っているサービスを提供するために、特許および意匠の政府等実施規定を発令することができるようになりました。このとき、政府等は、緊急事態の場合を除き、実施前に特許権者および意匠権者との交渉が求められます。

 

(4)オムニバスクレームについて
審査対象クレームがオムニバスクレーム(発明の特徴が具体的に記載されておらず、明細書、図面の参照に依拠しなければ把握できないクレーム。この形式のクレームは特許付与されない)に該当するか否かは、これまで審査中にのみ確認されていました。しかし、法改正後は、12月のアクセプタンス期間経過後および特許付与後の手続(再審査、異議申立、取消請求等)においても再度確認されるようになりました。

 

(5)電子印鑑について
特許庁および商標庁において電子印鑑の使用が可能になりました。

 

(6)OPI文書の編集について
特許庁長官は、合理的な理由があるとみなされた場合には、公衆の閲覧に付される(Open to Public Inspection;OPI)文書から、閲覧に付される前に機密情報を編集する権限を有するようになりました。

 

2.2020年8月26日より施行予定
(7)認証付き証明書について
英語に翻訳された文書の認証付き証明書の提出が不要になります。

 

3.2021年8月26日より施行予定
(8)イノベーション特許制度について
イノベーション特許制度(1979年に創設された小特許制度を改良した制度で無審査登録)が段階的に廃止されます。
2021年8月26日以降においては、新規のイノベーション特許出願ができなくなります。
ただし、既存のイノベーション特許は法改正の影響を受けません。
2021年8月25日以前に出願されたイノベーション特許出願は、最長8年間の権利存続が可能です。
2021年8月25日以前の有効な出願日(優先日)を有するクレームを有する出願については、イノベーション特許出願として分割することが可能です。
2021年8月25日以前の有効な出願日(優先日)を有する係属中の標準特許出願は、イノベーション特許出願に変更できる可能性があります。