2019.12.17

韓国特許法改正 「実施」の定義に「方法の使用を申し出る行為」を追加

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韓国特許法改正 「実施」の定義に「方法の使用を申し出る行為」を追加

韓国にて改正特許法が成立し、「実施」の定義(第2条)に「方法の使用を申し出る行為」が追加されることになりました。この改正法は、2019年12月10日に公布されており、2020年3月11日から施行されます。

韓国特許法では、「プログラム」を特許の対象として認めておらず、「プログラム」に係る特許権を取得するために、「記録媒体に記録されたプログラム」として特許権を取得する実務慣行があります。「記録媒体に記録された」とされるため、特許権に係るコンピュータプログラムをオンラインで送信する行為を規制する手段が十分ではありませんでした。今回の改正法により、プログラムをオンラインで送信する行為に対して権利行使が可能な範囲が広がると期待されます。

ただし、「申出」が対象のため、プログラムをオンラインで提供する側に対してのみ権利行使が可能であり、プログラムをダウンロードする側には権利行使が可能ではない点に留意する必要があります。

また、第2条の改正に対応するように条文が追加された特許権の効力についての規定(第94条)では、「方法の使用を申し出る行為」に係る特許権の効力が、当該方法の使用を「故意に」申し出る行為に制限されることが追加されています。そのため、どのように「故意」の立証を行うかという点についても、留意する必要があります。

現行法 改正法
第2条(定義) 本法で用いる用語の意味は次の通りである。  
《中略》
3. 実施とは次の各目の区分による行為をいう。  
イ.(省略)
ロ.方法の発明の場合:その方法を用いる行為 
 
ハ.(省略)
第2条(定義) 本法で用いる用語の意味は次の通りである。  
《中略》  
3. 実施とは次の各目の区分による行為をいう。  
イ.(省略)  
ロ.方法の発明の場合:その方法を用いる行為 またはその方法の使用を申し出る行為  
ハ.(省略)
第94条(特許権の効力)  
(現行条文省略)
第94条(特許権の効力)  
1. (現行条文と同様)  
2. 特許発明の実施が第2条第3号ロ目による方法の使用を申し出る行為の場合、特許権の効力は、その方法の使用が特許権または専用実施権を侵害するということを知りながらその方法の使用を申し出る行為にのみ及ぶ。  

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