2016.03.25

中国における「専利権侵害紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する最高人民法院の解釈(二)」の公表について~~(III)

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中国における「専利権侵害紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する最高人民法院の解釈(二)」の公表について~~(III)

2.主要内容(前回の続き)
 2-2. 請求の範囲の公示的機能及び保護範囲の確定機能を強化し、専利権の保護範囲の安定性及び公衆の予見可能性を向上させること。
 (1) 第5条には、発明の技術的特徴の確定において、前提部分と特徴部分、及び従属請求項の引用部分と限定部分にかかる技術的特徴はいずれも、保護の範囲を限定することについて規定し、第10条には、製品を規定する請求項における製法的記載は、同様に、保護の範囲を限定することについて規定しました。第12条には、「少なくとも」、「超えない」といった用語を用いて数値範囲を特定する場合に、請求の範囲、明細書及び図面を参酌したうえで、当該発明の技術的手段において当該用語を用いた数値限定が強調されていると判断される場合には、専利権者が当該数値範囲と異なる数値範囲を特許発明の均等的範囲に含ませるように主張することは認められないことについて規定しました。
 (2) 第7条には、閉鎖形式の請求項の技術的範囲を確定する基準について明確に規定しました。即ち、被疑侵害品が、閉鎖形式の組成の全ての成分を含むほかに、その他の成分(通常量の不可避な不純物を除く)を含む場合には、当該特許発明の技術的範囲に属さないと認定されます。一方、漢方薬に係る特許発明は、当該規定の適用対象から除外されており、その技術的範囲は、請求項に記載されていない他の成分が技術的課題の解決において実質的な影響をもたらしたか否かに基づいて認定されることが原則となります。
 (3) 第8条には、機能的特徴に関する解釈及びそれと均等論との関係について規定しました。まず、機能的特徴を定義することにより機能的限定を肯定すると共に、機能的特徴により規定されたものの当業者が請求項のみを参酌したうえで当該発明の機能又は効果を実現可能な具体的な実施手段を直接且つ明確に特定可能な場合には、機能的限定とは認定されないと記載されています。さらに、当該機能的特徴を含む発明の技術的範囲を確定する際には、均等論が適用され得ることについて明確に規定されています。即ち、当該機能又は効果を実現するためのものとして明細書及び図面に記載された技術的特徴を基準とし、被疑侵害品の技術的特徴は、基本的に同一の技術的手段を用い、同一の機能を実現し、同一の効果を発揮するものであり、且つ被疑侵害行為発生時に当業者が創作的労力をかけずに容易に想到可能なものであれば、当該機能的特徴と同じ又は同等な特徴であると認定されます。
 (4) 第9条には、使用場面(用途)限定特徴に関する解釈について明確に規定しました。即ち、被疑侵害品が、請求項に記載の使用場面(用途)に適用できない場合には、技術的範囲に属さないと認定されます。

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