2016.03.25

中国における「専利権 侵害紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する最高人民法院の解釈(二)」の公表について~~(I)

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中国における「専利権 侵害紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する最高人民法院の解釈(二)」の公表について~~(I)

中国最高人民法院(日本の「最高裁」に相当)は、2016年3月21日に、「専利権侵害紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する最高人民法院の解釈(二)」(以下、解釈(二)と略す)を公表しました。本「解釈(二)」は、2009年に公表された前回の「解釈」を吸収したものとして位置付けられ、2016年4月1日から施行されています。なお、最高人民法院による法の解釈は、下級審を拘束する法的効力を有しており、その制定背景及び主要内容は、注目に値します。
1.制定背景
 最高人民法院が2009年12月に「専利権侵害紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する最高人民法院の解釈」を初めて公表して以来、技術内容が複雑になり、専利権の市場価値及び利益が益々巨額化してきました。専利権侵害紛争事件の審理に関する指導的意見は、北京、上海、蘇州等各地の高級人民法院により公表され、また、専利権のような専門性の高い案件を集中的に審理するために、北京、上海、広州に知的財産法院が設立されています。このような現状において、専利法を正確に施行し、専利権侵害判定基準の細分化・具体化及び整合性を図るために、専利権侵害紛争に関する解釈を再度制定する必要性が生じていました。
2.主要内容
 「解釈(二)」は31条からなり、請求項の解釈(第3~13条)、意匠の類否判断(第14~17条)、補償金請求権の適用(第18条)、間接侵害(第21条)、標準必須特許の実施に関する抗弁(第24条)、善意の実施による抗弁(第25条)、侵害行為の差止めの例外(第26条)等の規定が設けられ、これまで侵害判定時に争点となった事項について、明確な判断基準を示しました。「解釈(二)」の条文は主に3つの観点から構成されており、以降、3回に分けて紹介します。

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