2022.09.22

ベトナムにおける知的財産法の改正

特許

意匠

ベトナム

法令

ベトナムにおける知的財産法の改正

ベトナムにおいて、2022年6月16日に改正知的財産法が承認され、2023年1月1日に施行される予定です。今回は改正点の一部を紹介します。

1. 特許
‐ 第一国出願義務の緩和
 従来、ベトナムで創作された発明については、ベトナムでの第一国特許出願が義務付けられていましたが、今回の改正により緩和され、ベトナムで創作された、国防及び安全保障に影響を与えるおそれがある技術分野に係る発明であって、その登録をする権利がベトナム在住のベトナム人又はベトナム法に基づき設立された法人に属する場合、当該発明に対して安全保障に関する管理措置を実施するためのみ、第一国出願義務の対象となります。

‐ 無効理由の明記
 従来の③と④の無効理由に加えて、以下の無効理由が追記されました。

①ベトナムの国防、安全保障に影響を与える発明を、ベトナムより先に外国出願した場合(第一国出願義務違反)
②遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的知識から直接創作された発明について、登録出願の願書にその遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的知識の出所を開示していない、又は正確に開示していない場合
③出願人が出願する権利を有しない場合(現行の規定と同様)
④新規性、進歩性、産業上の利用可能性、特許性の要件を満たしていない場合(現行の規定と同様)
⑤特許請求の範囲または明細書の補正が、出願時の開示の範囲を超える場合
⑥当業者が実施できるよう明確かつ十分に発明が開示されていない場合
⑦先願主義を満たさない発明の場合

‐秘密発明(Confidential inventions)について
 発明の用語の解釈として秘密発明が「国家機密の保護に関する法律および規則に基づき、管轄の国家機関によって国家機密として分類される発明」として規定されました。

‐発明の新規性について
 ある発明の特許出願(以下、「当該出願」といいます。)について、その出願日又は優先日より先に出願された他の特許出願の明細書等に当該発明が記載されている場合であって、その発明が当該出願の出願日または優先日以後に公開された場合は、当該出願に係る発明は新規性を喪失することが規定されました。

2.意匠
-意匠の定義について
 意匠の定義に複合製品の構成部品の外観が追加されました。この追加は、複合製品の部分的保護を規定するEUベトナム自由貿易協定(EVFTA)の義務の履行に伴うものです。これにより工業デザインの保護範囲がより明確になります。

-公開の延長
 出願時に出願人の申請により、公開を出願日から最大で7か月まで延長することが可能になります。

3.異議申立制度の導入
 工業所有権の登録出願に対する異議申立て手続が導入されました。

 以下の期間内に異議の申立てを行うことが可能になります。
(a) 特許出願の公開日から9月以内、かつ、特許の決定がまだ付与されていない場合
(b) 意匠出願の公開日から4月以内、かつ、意匠登録の決定がまだ付与されていない場合

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