2019.07.11
カナダ特許法及び特許規則改正
特許
カナダ
法令
カナダ特許法及び特許規則改正
カナダでは、特許法及び特許規則が改正され、2019年10月30日に施行されます。今回の改正は、主に、特許法条約(PLT)への加入のために必要な改正を多く含みます。
主な改正点は下記の通りです。
・優先権の回復
PCT出願、PCT出願以外の出願について、所定の要件を満たす場合に、優先権の回復が可能となります。
・PCT出願のカナダ国内段階移行の要件
優先日から30月を越えて42月までの間にカナダ国内段階に移行する場合、回復手数料の支払いに加えて、出願人の権利を回復するための請求、及び、優先日から30月までにカナダ国内段階に移行できなかったことの陳述書の提出が必要になります。
・出願日の取得
PCT出願以外の出願の場合、出願時に出願書類が外国語で提出されていれば、出願書類の英訳又はフランス語訳が提出されていなくても、出願日が付与されることになります。ただし、所定期間内に出願書類の英訳又はフランス語訳を提出する必要があります。
また、PCT出願以外の出願について、先に出願された出願を参照した出願をすることで、出願日が付与されることになります。
・優先権の基礎出願からの欠落情報の提出
PCT出願以外の出願について、特許出願時に欠落してしまった明細書や図面の部分を、優先権の基礎出願に記載の明細書や図面から追加することで、出願内容を訂正することができます。
・審査請求期限
審査請求期限は、PCT出願の場合には国際出願日から4年以内、PCT出願以外の出願の場合にはカナダの出願日から4年以内に、短縮されます。
なお、分割出願についての審査請求期限も従前の規定よりも短縮されます。
・出願の維持費
係属中の出願に対して、誰でも出願の維持費を納付することが可能となります。
・権利の回復
出願の維持費の納付手続、付与された特許の維持費の納付手続、審査請求及び審査請求費用納付手続を所定期間内に行わない場合であっても、所定の要件を満たす手続を行うことで出願や特許の回復が可能でしたが、当該所定の要件が従前よりも厳しくなりました。具体的には、従前の要件に加えて、納付手続等を所定期間内に行わなかった理由、及び、当該理由が相当の注意を払ったにも関わらず発生したことの説明を、提出する必要があります。
・権利の回復により発生する第三者の権利
出願の維持費の納付手続、付与された特許の維持費の納付手続、審査請求及び審査請求費用納付手続を所定期間内に行わず、その後に権利(出願や特許)の回復が行われた場合、回復した権利に係る特許を実施するための権利が所定条件下で第三者に発生することになりました。
IPNews
知財情報