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2019年8月

毎年ご好評をいただいている「R&C知財セミナー」を今年も大阪・東京・名古屋・広島で開催致します。
以下、開催順に

 【広島】  2019年10月09日(水) 13:30~17:00
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 【大阪】  2019年10月10日(木) 13:30~17:00
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 【名古屋】 2019年10月11日(金)  14:00~17:30
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 【東京】  2019年10月18日(金)  13:30~17:00
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7日目
 2週目最初の研修は、商標権侵害訴訟に関するものです。中国では、侵害品を発見した場合の対応として、行政ルートと訴訟ルートがあります。行政摘発については、工商局(現在は、市場監督管理局)が管轄し、差押や行政処罰、是正命令等が行われます。行政ルートを利用するメリットとしては、①迅速に現場調査が行えること、②事件の終結時間が短いこと(1月~2月程度)、③手続が簡易であることです。一方、デメリットとしては、①地方保護主義、②地方によっては複雑な事件の処理が困難、③損害賠償の請求ができない、が挙げられます。地方保護主義というのは、地元の企業を優先して保護する考え方です。この考え方により、外国の企業が中国の地元企業に行政摘発を行うよう当局に依頼しても、積極的に対応してくれないことがあるようです。次に、訴訟手続について、中国では主に基礎裁判所・中等裁判所・高等裁判所・最高裁判所の4ランクがあり、一審、二審、再審と原則3回のチャンスがあります。基本的には侵害行為がなされた場所や侵害結果の発生地、または被告の住所地によって管轄裁判所が決定されます。しかしながら、専門的な分野の裁判であることから、経験のある裁判所(北京、上海等)で訴訟することが望ましいとのことです。その他、侵害訴訟の事例をいくつか学びました。

 この日より日本の企業の方と一緒に研修を受けることになったので、夜は四川料理をごちそうになりました(ほとんど毎日のように食事に連れて行って下さり、本当に恐縮ですが、ご厚意に甘えさせていただきました)。初めて四川料理の麻婆豆腐を食しましたが、辛くて舌が痺れました。。。あまり、たくさんは食べることができませんでしたが、中国に行って2度目の白酒(バイジュウ)を飲みながら四川料理を楽しみました。
(美味しいですが、辛かった。。。)

8日目
この日は、中国商標法の改正と冒認出願対応について研修を受けました。何よりも驚いたことは、2018年度中国商標局が受理した商標登録出願件数が約700万件あったことです(日本は大体20万件弱だったと思います)。日本と中国の人口の倍率より、はるかに高い倍率です。また、地方政府の補助金があることで、中国国内の出願人が商標出願を積極的に行っていることも背景にあるようです。一方、会社名は異なりますが、同一法人代表、同日設立日、同一住所の2つの会社が、2日で合計約10,000件もの商標出願を行ったケースがあり、正常な出願ではないという理由で、拒絶された事例がありました。やはり、中国はケタが違います。
午後からは、現地事務所より車で約1時間のところにあります、中国商標局にいきました。初めは皆スーツを着ていかなければならないようなお堅い印象を持っていたのですが、いざ入って見ると一般の方が気楽に入ることのできる雰囲気で、日本で言うと市役所のような感じです。「スーパーの買い物ついでに寄りました」という感じの服装の人(おそらく特許事務所の人だと思いますが・・・)が、願書を提出したり、無効審判の請求書類を提出したり、私の想像と大きなギャップがありました。
9日目
 この日は、外商投資法と技術輸出入管理条例の改正について、講義を受けました。私にはこれまで馴染みのなかった法律ですが、中国に進出される外国人や企業には重要な改正だと思われます。約40年近く、外資三法(合資経営企業法、外資企業法、中外合作経営企業法)によって、外資(外国人・企業等の直接または間接的投資活動)の保護がなされていました。しかし、中国の内資に比べると、不平等な内容であったため、2020年1月1日より、外資三法を廃棄し、新たに「外商投資法」が施行されることになりました。これにより、国の定めた特定分野以外の分野では、投資管理や投資促進、財産権保護や知的財産の保護等について、内資と平等の扱いを受けられます(例えば、政府の調達活動、株・会社の債権の発行、その他の融資活動も可能になるとのことです)。その背景には、アメリカの貿易交渉があります。昔の中国では外資と内資を平等の条件にすると、当時力のなかった内資を守ることができず、国の法律によって内資に有利な保護を与えていました。しかし、今日では中国内資は外資と十分に競争することができるレベルになっていますので、「外商投資法」の制定により、中国はより自由競争の可能な国になっていくのではないかと思われます。
 午後は、公証役場見学です。中国では、証拠資料に対して公証認証を行うことが必要で、例えば、侵害品の確認のために、公証人が現地に出向くことがあります。私がお世話になっている現地事務所はこちらの北京公証役場と付き合いが長く、かなり融通が利き突然のお願いや短納期のものにも対応いただけるとのことです。この日は、公証人にウェブページに対する認証を行う方法を実践していただきました。

10日目
 この日は、元商標局の審査部部長の方に中国における商標の識別力と類否判断について講義を受けました。現在、正式な審査官は約500名。1出願に対して1人の審査官が対応します。日本も審査官によって判断が異なることがありますが、画一的な判断が難しい部分ですので、中国では審査の結果にばらつきが生じやすいようです。類否判断については、日本と似ている部分も多くありますが、例えば、中国語のピンイン(ローマ字で表す音訳)のみの先願商標は、漢字+ピンインの後願商標とは非類似として扱われる場合があります(例:先願「ZHI XIN」 後願「志新/ZHI XIN」)。一方、先願後願が逆の場合は、類似商標として排除できるとのことです。これは、前回の報告書で報告させていただきましたが、中国語は同じ称呼でも複数の漢字が存在しますので、ピンイン単独の登録商標に対し、同一称呼が生じる複数の漢字すべてを排除できるとすると権利の保護範囲が広すぎることが理由として挙げられます。
北京最終日
 早くも北京での最終日が来てしまいました。私も参加させていただいた日本語倶楽部のメンバーより、ありがたいことに懇親会を開いていただきました。皆さん楽しみながら日本語を勉強されているところが本当に素晴らしかったです。また、お伺いするときは、是非、参加させてください!
 北京最終日の夜も、大変恐縮ですがおもてなしをいただき、四川料理の火鍋をごちそうになりました。辛いです!本当に辛いですが、中国人直伝のたくさんの薬味を混ぜたオリジナルのタレの組み合わせを教えていただき、おいしくいただきました。この日も、やっぱり白酒をいただきました。最後にはもう白酒に慣れてしまっていて、自分でも注ぐし、事務所の方にも注いで、白酒を皆で飲むという楽しみ方が大好きになりました。白酒で始まり、白酒で終わる北京での研修でした。

(口が辛い時のスイカってめちゃくちゃ甘くて旨いです。)

 北京事務所の皆さん、2週間知的財産の研修だけでなく、中国の文化についてもたくさん教えていただきまして本当にありがとうございます。明日より、中国の新幹線「ガウティエ」に乗って、上海に向かいます。次は、中国研修報告③(上海編)です。